はじめに
私は、企業に入社したころから、20年くらい持株会に入っていました。
20年間、持株会に加入していた経験での感想を書いていきます。20年間続けた後にいまは退会済です。

持株会とは
持株会は、会社の福祉制度のひとつで、社員が持株会に加入することにより、月々の給料から自分の希望した額例えば3万円などと一定額を給料から天引きして、自社の株を買い付けます。ボーナスのときの買い付け額も別に設定できます。

会社によってはこのとき会社から拠出金額から1割などの補助があります。
通常の証券会社で株を買うときは100株単位になりますが、持株会の場合は、3万円なら3万円の拠出額でその時の時価で買えるだけ買いつけをして、買い付ける単位は、半端な単位まで買い付けて小数点単位になりますね。
そうして、それでも買い付けた際に残ったお金は、次の月に繰り越して買い付けていきます。
一度加入すれば、あとの買い付けは持株会がずっとやってくれます。
株を積み立てていき、配当月に出る配当金は、そのまま次の買い付けの資金に合算されます。
こうしていわゆる、配当金再投資となります。
このような感じで毎月の一定額を給料から天引きで、会社の補助付きでコツコツ買い付けすることができます。

持株会に入ると組織で有利になったか
自社への服従のあらわしとして、持株会に入っていることが組織内での評価や待遇が良い方向に働くのではないか?、ということにお答えすると、有利になることはありませんでした。

私は、会社に入りたての頃はこういうことがわからず、なんらかしら会社のキャリアに有利になると思っていました。
持株会に加入しているかしていないか、は、私が経験した限りでは、社員間でまったく話題に触れることはありませんでしたし、同僚や上司との会話でも出ることはありませんでした。

冷静に考えてみると例えば、ある社員が株をたくさん持っているからといって、会社からの待遇が変わってしまってもフェアではなくなってしまいますので、そうはなりにくいと思います。
ただし、役員になる人が、この人は自社株を何株持っているとか、公表されてはいました。がそういう立場になったときのはなしです。
持株会に入ったとき感じたメリットは
持株会に入ったときにメリットと感じたことをお話しします。

1.月々の給料天引きで自動的に買い付けてくれますので、自分でこの分のお金を無駄遣いすることがない点です。年々給料が上がってくれば、それに合わせて買い付け金額を増やしていく方法もあります。
株価が高い時も安い時も一定額で買い付けてくれて、安い時は多く買ってくれますので、ドルコスト平均法として、コツコツと買い付けを貫いてくれます。

2.会社から補助が出る点です。1割などの補助は、嬉しく感じます。
会社から余分に補助を貰っているという感謝の気持ちを持つことができます。

3.年に2回出る、配当金も買い付けに回されますので、配当金再投資となり、複利効果が期待できます。成長企業の株でしたら、株価の値上がりで資産が増えていきます。

持株会に入ったとき感じたデメリットは
つぎに持株会に入ったときにデメリットと感じたことを話します。

1.売りたいときにすぐに売れないことです。
株式が100株単位などと株式市場などで売り買いする一定の単位で、書面申し込みをすることで、引き出すことが可能ですが、そろそろ売りたいと思っても手続きから引き出しまで、1か月位かかりました。

また、最近だと自分の勤めている会社の株取引きなので、インサイダー取引防止のための書面にも記載して提出しなくてはなりませんでした。
そのときの株の払い出しは、持ち株会から一旦、証券口座に移っただけですので、売りたい場合は、さらにその証券口座で自分の好きなタイミングで売りにかけるということになります。
そうこうしているうちに暴落もあれば、暴騰することもあるので、非常にやきもきします。
2.配当金や売却時の利益に通常の株と同様に約20%の税金がかかることです。

せっかく持株会を耐えて頑張った結果、利益が出ても普通の株式投資と同じように約20%の税金がかかると、大きな負担と感じるでしょう。
仮に100万円の利益が出れば、約20万円の税金が先に徴収されます。
この点は、今であれば、積立NISAかNISA口座を作り、他の株か投資信託を買うことでうまく利用したいところです。
3.インサイダー取引防止のために自社株を売れない期間(決算発表前など)があることです。

これは会社の指示に沿います。売りたいタイミングで売れないため、実際に売るとき株価が落ちるのではないかと、少し不安になります。
せっかく、急な資金が必要になり、持ち株会から払い出したいと思っても、自分で売るタイミングをコントロールしづらいので、落ち込みます。
4.自分の収入が下がったときに株価も下がっていたことです。
景気不景気が7年周期でやってくるなんていわれますが、持株会を20年続けていたときは、不景気が来た時に残業が減り給料も下がったときに、世間の景気も悪くなり会社の株の値段も下がっていたので、連動していました。

まとめ
✓自社愛の表現の1つの方法として、持株会があり、補助金制度があるのが嬉しいですが、不景気になったときは、給料が減る時期に株価の資産の評価価格も下がることになるのでつらい時期です。
もし自社の株を持っているとしたら、そういう状況でも信じて持ち続けられるかどうかとなります。
他社株やほかの資産を持つことで分散させることも大切になってくると思います。
以前は、私は、自分の勤めている会社の持ち株会だけだったのですが、いまは持ち株会はやめていて、分散を心がけています。
✓持株会では、資金が必要になって株を売りたいときにすぐ売れないときのほうが多かったです。
書面手続きと期間の制約がありました。
✓持株会は、拠出金額の1割などの会社補助の優遇があり、これはとても嬉しいです。
しかし、優遇税制がありませんので、利益や配当に、通常の株と同様に約20%の税金が発生します。
✓選択肢としては、持ち株会だけでなくて、国の税金優遇制度の積立NISAかNISAの活用をして他の企業などの株も検討するといいでしょう。
ダイヤモンドオンラインで経済評論家の山崎元(やまざきはじめ)さんが三菱商事や証券会社に所属していたなどの経験から「持ち株会で社員が「自社株」を買うのに断固反対する2つの理由」の記事を書かれています。よろしければこちらも参考にされてください
